子供の将来の進学費用などのために、こつこつ積み立てていく「学資保険」。
しかし、積み立てが長期にわたることから、「満期を迎える前に、事情ができて今後の保険料の払い込みが難しくなってしまった」というような、アクシデントが起きないとも限りません。
この場合、真っ先に浮かぶ手段は「学資保険を解約すること」ではないでしょうか。
しかし、「学資保険を解約すること」は、様々なデメリットを伴います。
今回は、「学資保険を解約すると起きるデメリット」がどのようなものかと、「解約しないで学資保険を継続するための方法」について、詳しく解説していきます。
もくじ
学資保険を解約すると考えられるデメリットは3つ
まず初めに、ここでは、学資保険を解約したときに起こってくる、代表的な3つのデメリットについて詳しく説明します。
満期保険金が消滅する
まず1つ目のデメリットですが、学資保険を解約することで起こるもっとも大きなデメリットは、満期保険金がなくなってしまうことです。
保険契約がなくなるのですから、当たり前のことなのですが、学費に使うために積み立てていたのであれば、その入金の予定もなくなるわけです。
特約をはじめとした保険としての補償がなくなる
そして2つ目のデメリットは、学資保険を解約することで、満期保険金同様、学資保険の保険部分としての補償がなくなることです。
主契約がなくなると同時に、付加されている様々な特約も同様になくなります。
他に加入している生命保険があれば、大きな問題になることはないでしょう。
しかし、子供の場合、学資保険の補償のみで、ほかの保険に加入していない場合がありますから、解約の際、よく確認することが必要です。
解約返戻金は積み立てた保険料より少ない
最後に3つ目のデメリットです。
解約すると、よほど加入期間が短くない限り、解約返戻金という形でお金が返ってきます。
しかし、ほとんどの場合、解約返戻金はこれまで支払ってきた保険料より、少ない場合が多いのです。
保険の加入期間が短ければ短いほど、支払った保険料に対して、解約返戻金の金額は少なくなります。極端な場合は、ほとんどないこともあります。
保険料納入期間が短いほどデメリットが大きい
ここまで、学資保険を解約すると起こってくる3つのデメリットを説明してきました。
学資保険は基本的に、満期まで継続することを前提として設計されている保険なので、途中で解約してしまうと、ほとんどの場合デメリットしかありません。
特に、加入してから解約までの期間が短ければ短いほど、返戻金もありませんから、デメリットは最も大きくなりますので、注意してください。
次の章では、学資保険の解約を回避して、契約を継続するための方法について説明します。
学資保険を解約せずに継続する方法は3つ!
ここでは、学資保険を解約せずに、継続する3つの方法について書いていきます。
保険料を減額する
まず、一つ目は保険料を減額して継続する方法です。
学資保険の保険料は、契約者の年齢と、満期保険金の額によって決まるのです。
しかし、この方法は満期保険金の額を見直して、保険料を負担できる額まで減額して解約を回避し、保険を継続していくものです。
満期保険金は減りますが、保険料も下がりますし、保険契約も継続できるので、一番初めに考える対処方法として最適と言えます。
一時的なものなら、自動振替貸付制度を利用する
2つ目の方法は、保険料が支払えない期間が一時的な場合の対策方法です。
学資保険のように貯蓄性が高く、長期にわたる積立契約の保険には「自動振替貸付」という制度が存在します。
どのような制度なのかというと、学資保険のような貯蓄型の生命保険では、加入後ある程度の期間が経過してれば、解約返戻金が存在します。
解約返戻金が存在していれば、その金額の範囲内で一定期間、保険会社が保険料を自動的に振り替えてくれる制度、それが「自動振替貸付制度」です。
この制度が適用になった場合、はがきなどでその旨の連絡が届きますから、保険の継続が行われていることが確認できます。
この「自動振替貸付制度」は、学資保険のように貯蓄性が高く、長期にわたる積立契約の保険に加入するとき、ほとんどの場合、自動的に付加されているものです。
ただし、保険に加入してからある程度の期間が経過していないと解約返戻金が発生しないので、契約してすぐの保険には該当になりませんから、その点は注意してください。
返戻金を利用しての「払い済み保険」への変更
最後に3つ目の方法は、2と同様に、ある程度まとまった金額の解約返戻金がある場合のみ、できる方法です。
それは、解約を考えた時点で、これまで払い込んだ保険料に対する解約返戻金の金額を元にして、残りの保険期間分の保険料を払い込んでしまう方法です。
これを「払い済み保険」と言います。「払い済み保険」に変更できれば、満期保険金を減額することにはなりますが、保険期間を変更せずに保険契約を継続できます。
保険を解約することなく、以降の保険料の支払いをしなくて済むようになるので、保障を残して経済的な負担が減るわけです。
ただし、「払い済み保険」に変更した場合、保険は解約せずに済むというメリットはありますが、主契約である満期保険金額の変更であるため、基本的に特約がなくなってしまうというデメリットがあります。
ですから、付加してある特約が多い場合は、注意しなくてはなりません。
そして、一度払い済みに変更してしまうと元に戻すことが出来ません。
後になって、保障額を増やしたくても、再変更は出来ないのです。
ですから、経済的な事情で保険内容の変更を考えた際、一時的な収入の落ち込みなのか、今後も続くのかどうか、しっかり判断する必要があります。
3年以内なら、「復活」という方法もある
保険料が払えなくなってしまった場合、解約という手段をとらなくても、一定の猶予期間を置いて、保険は保障の効力を無くします。
これを「保険の失効」と言います。
この「失効」状態であれば、条件付きで、保険契約の回復が出来る場合があります。
条件が厳しくなるので、あまりお勧めはできませんが、「復活」という方法です。
復活には以下のような条件を充たさなければなりません。
- 保険契約が失効してから3以上経過していないこと
- 現在の健康状態に問題がないこと(もう一度健康状態の診査を受ける必要がある)
- 失効していた期間分の保険料を一括で支払うこと
この3つがクリアできれば、保険契約を復活させることが可能になります。
失効後の復活は条件が厳しい
前項のような理由から、経済的な事情で、学資保険の保険料を支払えなくなった場合の手段の一つとして、「学資保険契約を故意に失効させ、一時的に負担を軽くして、落ち着いたら再度復活させる」という方法を選択肢の一つに考えることもあるかもしれません。
しかし、失効してからの時間が長くなればなるほど、3つの条件全部をクリアするのは難しくなります。特に3つ目の「失効していた期間分の保険料を一括で支払うこと」は、かなり厳しい条件です。
ですので、「復活」時の収入が「失効」時より確実に上がるという保証がなければ、「故意に失効させて、あとで復活すればいい」という安易な考えは持たない方が無難です。
こういったことから「失効」からの「復活」については、積極的にはお勧めできません。
《学資保険は、できるだけ解約を避ける方が無難》
ここまで、学資保険を解約せずに継続する方法について説明してきました。
学資保険は、満期まで払い込んでこそ、一番のメリットを享受できる保険です。
経済的に厳しくなると、一番初めに考えるのが、今すぐに恩恵を受けることがなく、負担の大きい保険を整理することですが、後々のことを考えると、解約はできるだけ避けたいものです。
解約を選択する前にできることは、いくつもあります。
どうにもならない場合は解約もやむを得ないこともある
しかし、色々な策を考え、実行しようとしても、離婚などで、どうにもならない事情のこともあるでしょう。
その場合は、学資保険の解約を選択する決断もやむをえません。
いずれにしても、現在の状況と、将来起こる可能性があることを考えてください。
そのうえで冷静に判断して、いまできる最良の行動を選択することが大切です。
学資保険を解約しても損をしない場合があるってホント?
前章までで書いてきたように、学資保険を解約すると、ほとんどの場合、デメリットになります。
しかし、場合によっては、損をしなくて済むこともあります。
この章では、そのことについて詳しく書いていきます。
10年を過ぎると積み立てた保険料と解約返戻金の差がなくなる!?
学資保険を解約しても損にならない場合、それは加入期間にポイントがあります。
現在、解約を考えている学資保険は、加入してから何年が経過しているでしょうか。
保険証券を取り出して、加入年月日を確認してみてください。
もし、加入後10年以上が経過しているのであれば、解約を選択しても大丈夫です。
デメリットは最小限で済みます。
なぜなら、学資保険は、加入してから10年以上経過すると、支払った保険料と解約返戻金の金額に差がなくなるからです。
解約はできるだけ避けたいことですが、加入後10年を経過すれば、デメリットは最小限に抑えられることを覚えておいてください。
学資保険の解約は条件をよく確認してから
ここまで、保険料が払えなくなったために学資保険の継続をどうするか考えたときに、対処する方法について書いてきました。
解約を回避するためにできることの選択肢が、いくつもあることがご理解いただけたでしょうか。
さまざまな事情はあることと思いますが、学資保険は大事なお子様の未来に備えるものですから、解約は条件をよく確認したうえでの最終手段として考えてください。
安易に解約を選択しないことが大切です。
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