今、世間では「NISA」や「つみたてNISA」が話題になっています。
特に「つみたてNISA」については、現在利率の良くない学資保険の代わりになるとして、注目を集めています。
しかし、「NISA」でも、「つみたてNISA」でも、実際にきちんと理解している人はどのくらいいるのでしょうか?
今回、「つみたてNISA」の、いまさら恥ずかしくて聞けない基礎知識から、学資保険の代わりになる理由、メリット・デメリットについてなど、分かりやすく詳しく解説していきます。
もくじ
つみたてNISAってどんなもの?
最初に、「つみたてNISA」がどんなものなのか、「基礎の基礎」をさらにかみ砕いて、解説していきます。
まず初めにNISAについての知識から
「つみたてNISA」の説明に入る前に、まず基本的な「NISA」について、詳しく説明しましょう。
「NISA」が理解できなければ、「つみたてNISA」は、なおさら理解不能になるからです。
「NISA」というのは、「NIPPON INDEVIDYAL SAVING ACCOUNT」の4つの言葉の頭文字をとったものです。
「N」は日本をローマ字書きしたときの頭文字で、「ISA」は「INDEVIDYAL SAVING ACCOUNT」の頭文字です。
「ISA」は、もともとイギリスの制度で、直訳すると「個人貯蓄口座」のことを言います。
それに「N」を足した「NISA」は、「日本版ISA」という意味で使われています。イギリスの個人貯蓄口座制度を参考にして、日本版として作られた制度です。
「NISA」というのは愛称で、「日本版個人貯蓄口座による投資非課税制度」というのが、省略しない意味になります。
この「少額投資非課税制度」ということの内容を詳しく書くと
- 少額→120万円まで
- 投資→株(国内・国外どちらでも)や投資信託などを買うこと
- 非課税制度→利益や配当金に対して税金がかからない
ということになります。
ここまでを簡単にまとめると、「国内株・海外株など、リスクのある金融商品を購入した場合、購入金額が120万円までであれば、「NISA」口座を利用して運営して、利益や配当金が出た場合、それに税金がかからない」という制度です。
ものすごく簡単な言葉で「NISA」を言い換えると、こういうことになります。
つみたてNISAの基礎知識
次に、本題である「つみたてNISA」について説明します。
「積み立てNIS」は、以下のような特徴があります。
- 2018年1月から運用が開始になった
- 非課税期間は最長で20年
- 非課税枠は年間40万円まで
- 非課税の条件は定期的に継続して投資を続けること
- 購入する金融商品は条件付きである(金融庁が選んだもの以外NG)
前項で書いた「NISA」に、「積み立て」の要素が加わったものが「つみたてNISA」になるわけですが、実際の「NISA」と「つみたてNISA」では、条件がだいぶ違っています。
以下に、理解しやすいように「つみたてNISA」と「NISA」との相違を、簡単に表にしてみました。
参照してみてください。
積み立てNISA | NISA(2018~) | ジュニアNISA | |
非課税投資枠 | 40万円/年 | 120万円/年 | 80万円/年 |
非課税期間 | 最長20年 | 最長5年 | 最長5年 |
口座開設期間 | 2037年まで | 2023年まで | 2023年まで |
上記の表に記載されているように、「つみたてNISA」と「NISA」の違いは、非課税投資枠の金額と非課税期間および口座開設期間の部分です。
それから、「NISA」は投資方法を選択できますが(まとまった金額の投資でも、少額額の積み立てでも、どちらでもいい)、「つみたてNISA」は、「毎月」もしくは「2ヵ月に1回」、または「ボーナス時のみの年2回」など、定期的に継続して投資を続けることが条件となっています。
「つみたてNISA」は「積み立て投資専用という条件でのみのNISA」として、条件付きで認められているのです。(さらに、口座を開設する金融機関によって、選択できる年間の積み立て回数は違ってきますので、実際に口座を開設するときには注意が必要です。)
なぜ、今、「つみたてNISA」が注目されてるの?
さて、なぜ今「つみたてNISA」が注目されているのかということですが、「つみたてNISA」には、「NISA」にはない、
- 非課税期間が20年と長いこと
- 金融庁が厳選した投資商品が対象のため、初心者向けであること(投資初心者へのメリットが大きいこと)
この2つの理由があるためです。
「NISA」はベテラン投資家向け「つみたてNISA」は初心者向け
この項では、何故、「つみたてNISA」が初心者向けと言われるのか、「NISA」と比較して解説します。
「NISA」の場合は、「投資上限金額が120万であること」「対象になる投資金融商品がたくさんあること」が特徴です。
これは、投資経験者には好条件ですが、逆に投資初心者にとっては経験がないことから、「いくら使って、どの商品を購入するか」という点で、選択の判断が難しい部分があります。
その点、「つみたてNISA」であれば、上限金額は「NISA」の1/3ですし、購入できる商品は金融庁がふるいにかけて厳しく選んだものですから、大きく値崩れすることのない、比較的条件の良いものがラインナップされています。
そういったことから、「初心者で、詳しい知識がなくても、大きなリスクを背負うことなく利益を得やすい」ため、「つみたてNISA」は初心者向けと言われていますだとなるわけです。
ただし、どんなに厳選された金融商品であっても、確実に利益が出るという保証をされているものではなく、購入は自己責任ですから、そこは注意が必要で決して過信してはいけない部分であることを覚えておいてください。
積立NISAが学資保険の代わりになるってホント?
「つみたてNISA」が注目されるもう一つの大きな理由に、「学資保険の低迷」があります。
現在、「学資保険」の利率が大幅に下げられてしまったことから、「学資保険」だけでは実際に必要な費用が積み立てられないのではないかという不安を感じている方も多いようです。
そのため、「つみたてNISA」を学資保険の代わりに使うという方法に、注目が集まっているのです。
なぜ、つみたてNISAが学資保険の代わりになるの?
なぜ、投資である「つみたてNISA」が、学資保険の代わりになるのか?
それは、どちらも「毎月お金を積み立てていく」という点にあります。(「つみたてNISA」は、一年間の積み立て回数を選択できるため、実際には毎月の積み立てではない条件の場合もありますが、ここでは一例として「毎月の積み立てを選択した場合」をとりあげています。)
「つみたてNISA」は一年間で40万円まで積み立てられ、運用して得た利息は非課税、税金がかりません。
それに急にお金が必要になった時、「つみたてNISA」なら、預けてあるお金の引き出しが自由にできますので慌てずに済みます。
この点が、途中解約しなければ現金化できない「学資保険」に比べて(契約者貸し付けという選択肢はありますが)、自由度が高いのが特徴です。
つみたてNISAを学資保険の代わりにするときのメリット・デメリットって?
ここでは、実際に「つみたてNISA」を学資保険の代わりとした場合のメリット・デメリットについて解説します。
つみたてNISAのメリットは?
「つみたてNISA」を、」学資保険代わりに使う時の最大のメリット、それはうまく運用できれば、学資保険より良い条件でリターンになることです。
「つみたてNISA」は1年間で最大40万円まで投資枠があります。満額積み立てなくてもでなくても、月額1万円で年率2%の複利で運用した場合、18年で元本が2,160,000円に対し、利息は435,172円付くことになります。
現在、学資保険の利息は、年利になおすと1%ありませんから、かなり効率よく増やせる計算になります。
つみたてNISAのデメリットは?
「つみたてNISA」を学資保険代わりに使うときのデメリットとなるものの中で、一番心配されるのが「元本割れ」です。
そもそも「つみたてNISA」は、保険商品でなく金融商品であり投資が目的で購入されるものなので、運用がうまくいかないと「元本割れ」の可能性があります。
同じ理由で、親自身に何か起こった場合、「学資保険」であれば、保険料の払込免除特約がありますから、加入時に付加しておけば、解約せずに済み、満期保険金の受け取りにも支障はありません。
しかし、「つみたてNISA」は保険ではありませんから、学資保険のような万が一の時の補償はありません。
ですから、毎月の積み立て自体が出来なくなってしまえば、以降の運用が不可能になり、予定通りの貯蓄ができなくなってしまうという点が、「つみたてNISA」を学資保険の代わりに選択した場合のデメリットといえます。
「つみたてNISA」と「学資保険」!どっちを選択するのがベストなの?
ここまで、「つみたてNISA」のメリット・デメリットについて書いてきましたが、正直なところ、どちらを選択するのが良いのでしょうか?
この章では、そのことについて詳しく解説します。
「つみたてNISA」を選択する方が向いている場合
「つみたてNISA」を学資保険の代わりとして使う際、一番ネックになるのは万が一の時の保障です。
「学資保険」には、契約者である親の死亡保障として「払込免除特約」をつけることが出来るので、もし親が亡くなってしまった場合、それ以降の保険料の払い込みをしなくても満期保険金を受け取れます。
しかし、「つみたてNISA」場合、扱うのは、あくまでも投資商品ですから、「学資保険」のような死亡時の保証がないのです。
ですから、「つみたてNISA」を「学資保険」の代わりに選択するのであれば、ほかのもので死亡保障をカバーすることが必要になります。
逆に言えば、すでに生命保険に加入していて、学資保険での補償を必要としない場合は、「つみたてNISA」を選択して、進学資金の準備をするという方法が向いています。
学資保険を選択する方が向いている場合
「学資保険」は、現在利率が下がっているので、満期保険金を大きく増やして受け取りたいという場合には向いていませんが、保険料をしっかり払って、途中解約さえしなければ確実に満期保険金を受け取れます。
ですから、「死亡保障による安心」と「満期保険金の安定」を求めるのならば、無理をして「つみたてNISA」に切り替える必要はありません。
最もベストな選択肢は?
ここまで解説してきたように、「つみたてNISA」も「学資保険」も、どちらもそれぞれ長所・短所があり、メリット・デメリットがあります。
ですから、どうしてもどちらかに決めなければならないというのでなければ、どちらか一方を選択することにこだわるのではなく、両方の良いとこどりをするのが最も賢い選択支ではないでしょうか。
学資保険以外の生命保険で死亡保障を確保し、「つみたてNISA」で資金を増やすというのが、現状としてはベストな選択肢と考えられます。
コメントを残す