学資保険と似た保険に、養老保険があります。
名前から類推すると、学資保険は子供の教育資金を貯めるための保険であり、養老保険は老後の生活資金を用意するための保険だろうと想像できます。
実際には学資保険と養老保険とはどう違うのでしょうか?
その辺のところを調べてみましょう。
もくじ
養老保険とは?
養老保険は、契約時に保険金額、保険期間などを決めると、それに伴って保険料などが決まります。その保険料を払済期間まで払い続けることになります。
そして保険期間中に被保険者が死亡した場合は死亡保険金が支払われます。
また満期を迎えるまで生存していた場合は満期保険金が支払われます。
死亡保険金と満期保険金の金額は通常は同額です。
被保険者と保険期間
被保険者の契約年齢は0~75歳と幅広くなっています。
親でも子どもでもよく、それ以外でも選択可能です。
保険期間は、10年~30年までを、5年単位などで決めることが出来ます。
また、歳で指定することも出来ます。60歳、65歳、70歳、77歳、88歳までなど。
死亡保険金と満期保険金
保険期間中は死亡保障が付いています。
したがって被保険者が死亡した場合は死亡保険金が支払われます。満期になるまで健在であれば満期保険金が支払われます。
通常は死亡保険金と満期保険金は同額です。
しかし例外もあります。
例えば、かんぽ生命の養老保険には、2倍保障型、5倍保障型、10倍保障型などがあります。
基準保険金が1000万円の場合、
- 2倍保障型であれば、死亡保険金=1000万円、満期保険金500万円
- 5倍保障型であれば、死亡保険金=1000万円、満期保険金200万円
- 10倍保障型であれば、死亡保険金=1000万円、満期保険金100万円
これらは死亡保険金と満期保険金は異なっています。
貯蓄性が高い
普通預金や定期預金で積み立てるのと比べれば、養老保険には保障がついています。その点では有利です。
死亡保障を受けながら、何事もなく満期を迎えると、満期保険金を受け取れますから、養老保険は貯蓄性が高いと云うことができます。
養老保険は、バブル期には貯蓄目的で盛んに販売された主力の保険商品でした。
日本人の平均寿命が60歳代であった時代であり、金利も良くて、老後の資金を積み立てられると同時に万一の保障も得られるということで人気の主力商品でした。
しかし最近は低金利の時代となり、長寿社会が進み、養老保険は控えめとなっています。
そして現在の主力保険商品は、貯蓄性を保ちながら、生涯死亡保障が付いた終身保険などが主力へとシフトしています。
学資保険は養老保険と構造上は同型です
学資保険は、契約者(通常は親)の子ども(被保険者)が大学に進学する年齢(18歳)を満期とするものが主流で、満期になれば満期保険金を受取れます。
保険期間中に契約者が死亡または高度障害者になった場合は保険金の支払免除になり、満期保険金も受取れるシステムです。
養老保険は、被保険者が満期まで生存しておれば満期金を受け取れます。途中で死亡すれば死亡保険金を受け取れます。
契約者と被保険者の違いはありますが、構造上は同型であるといえます。
学資保険に入ろうと思ったときには、子どもの年齢が6歳を過ぎていた、というときなどは、養老保険を利用することもできます。
被保険者と契約者を共に親にして、10年の保険期間で養老保険に入るとします。保険期間中は万一の時には保障が付いており、満期になると満期保険金を受取ることができます。
これで大学入学のための資金を用意することができます。
なんとか学資保険の機能の代役を果たすことができています。
しかし最近ではこの役を低解約返戻金型終身保険が果たしているようです。これについては後述します。
学資保険と養老保険の違い
ここで、学資保険と養老保険の違いを検討してみましょう。
被保険者
養老保険
契約年齢は0~75歳と幅広い。
親や子どもも対象になりますが、それ以外の人でも可能です。
学資保険
子どもに限定されます。
契約条件は0~6歳など年齢制限もあります。
保険期間
養老保険
10年~30年間など期間で指定することができます。また満期を歳で指定することもできます。
例えば、60歳までとか、70歳までなどと指定できます。。
学資保険
0歳から加入でき、満期は17歳、18歳、20歳、22歳など、プランによりいろいろです。
加入には子ども(被保険者)の年齢制限があります。例えば、0歳~6歳までなど。
保障内容
養老保険
保険期間中に被保険者が死亡した場合は死亡保険金、満期を迎えるまで生存していた場合は満期保険金が支払われます。
さらに特約による保障が付けられます。
学資保険
保険期間中に契約者が死亡した場合は、保険料の払込免除の保障があり、満期時には満期保険金が支払われます。
ある一定の年齡に達した時に祝金が支払われるプランもあります。
さらに特約による保障が付けられます。
かんぽ生命の養老保険と加入例
かんぽ生命の養老保険には、万一のときの保障と満期のときの楽しみを兼ね備える養老保険「新フリープラン」があります。
さらに、これが基本になって、その変形として
- 「新フリープラン(短期払込型)」
- 「新フリープラン(2倍保障型)」
- 「新フリープラン(5倍保障型)」
- 「新フリープラン(10倍保障型)」
などがあります。
新フリープランの概要
保険期間 | 10~50年 |
保険額 | 死亡保険金は満期保険金と同額 |
加入年齢 | 0~80歳 |
保険金額 | 100万円~1000万円 |
その他保障 | 特約で入院保障をプラスできる |
基準保険金額 | 100万円~1000万円 |
死亡保険金 | 100万円~1000万円(=基準保険金額) |
満期保険金 | 100万円~1000万円(=基準保険金額) |
加入例
42歳男性の場合の例です。
70歳満期で加入した場合、特約なしとします。
基準保険金額500万円のときは、月払保険料は16,800円です。
基準保険金額1000万円のときは、月払保険料は33,600円です。
概算では、返戻率は88.6%です。
契約日 | 平成29年7月1日 |
加入年齢 | 42歳 |
被保険者の性別 | 男性 |
被保険者の生年月日 | 昭和50年4月20日 |
満期の年齢 | 70歳満期 |
基準保険金額 | 500万円(1000万円) |
特約 | 災害特約
無配当疾病傷害入院特約 |
月払保険料 | 16,800円(33,600円)特約なし |
低解約返戻金型終身保険とは?
最近では、子どもの教育資金を準備するための保険として、学資保険の代わりに養老保険ではなく、低解約返戻金型終身保険が使われることが多いようです。
「低解約返戻金型終身保険」とはどのような保険なのでしょうか。
名前から分かるように、終身保険に属します。
したがって、一生涯保障が続く保険であり、解約すると解約返戻金が支払われます。
低解約返戻金型という名前に特徴があります。
保険料払込期間が決められており、その期間中に解約した場合には、解約返戻金は低く抑えられています。大体支払った保険料の約70%程度です。
払済期間が過ぎると。通常の解約返戻金の水準に戻ります。
このように払込期間中の解約返戻金が抑えられている構造により、支払保険料が他の終身保険よりも安くなっています。
そのため返戻率は高くなります。
解約返戻金÷払込保険料総額×100=返戻率
この特性を生かして、学資保険の代わりにこの低解約返戻金型終身保険を利用する人が増えています。
保険料払込期間中は、契約者である親の万一の時のための死亡保険となります。
保険料払済になると、解約返戻金を教育資金として使うことが出来ます。
オリックス生命の終身保険RISE
特徴
- 死亡保障が一生続く。
- ライフステージに合った設計が出来る。保険金 200万円~5000万円まで100万円単位で設定でき、保険料払込期間を短期払、終身払から選べる。
- 解約返戻金を活用できる。
契約例の説明
- 30歳男性、・保険期間:終身、・保険料払込期間:60歳払済、
- 低解約返戻期間:60歳
- 保険金額:500万円
- 月払保険料:10,920円
経過年数 | 年齢 | 払込保険料累計 | 解約返戻金 | 返戻率 | ||
低解約返戻期間 | 5何 | 35歳 | 655,200円 | 444,560円 | 67.8% | |
10年 | 40歳 | 1,310,400円 | 952,150円 | 72.6% | ||
20年 | 50歳 | 2,620,800円 | 1,963,600円 | 74.9% | ||
30年 | 60歳 | 3,931,200円 | 3,047,800円 | 77.5% | ||
低解約返戻期間経過直後 | 3,931,200円 | 4,355,900円 | 110.8% | |||
40年 | 70歳 | 3,931,200円 | 4,571,800円 | 116.2% | ||
50年 | 80歳 | 3,931,200円 | 4,755,700円 | 120.9% |
この表は、経過年数による解約返戻金と返戻率の変化を示すものです。
保険料払込期間に達すると同時に、解約返戻金と返戻率が急上昇することが確認できます。
まとめ
学資保険は養老保険から生まれたものですが、学資保険は現代にマッチしたアレンジが工夫されてきています。
養老保険はすでに時代に合わなくなってきているようですから、養老保険を選ぶ選択肢はほとんど無くなってきています。
しかし、養老保険は選択しませんが、低解約返戻金型終身保険を選ぶ道が拓けてきているようです。
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